しんぼる〜文句は見てから言え

静岡ミラノ3で16:45の回と18:45の回。静活は入替がないから2回見た。客入りは40人ほどと15人ほど。
2回見た理由から先に書こう。
1回目が終わって帰ろうとしたら、すげー雨が降ってたから。以上。
2回見たから自信持って言おう。ネットでは見もしないで文句言ってる奴がいるけど、叩かれるような出来ではない。

メキシコのプロレスラーが試合に臨むまでと、白い部屋に閉じ込められた松本人志が脱出しようとする話が同時進行する。ここまでは予備知識があった。
メキシコのプロレスっつーのは現地ではルチャ・リブレといわれる。ルチャは戦い、リブレは自由。
植民地時代に抑圧されていたインディオが革命を模して始めたという説がある。だから松本も白い部屋からの自由を求めて戦うのとカケてるんだろう、と思ったけど、最後までそう明示する場面はなかった。
つーか、延々引っ張った割りにメキシコと松本の絡みは一瞬。

白い部屋に閉じ込められた松本の前には無数のちんちんが現れる。押してみるとボタンになっていて、菜ばしが出て来たり、水が降ってきたり、いろんな物が出てくる。寿司だって出てくる。けど醤油がない。寿司食ってから押したちんちんで醤油が出て来たり、というのが笑いどころとして用意されてる部分なんだろうか?
でもこの映画で別に笑う必要なんかないと思うんだけどなー。

おもちゃが出て来て遊んだり、マンガ本が出てきて読みふけったり、一人ツイスターで転がったり、それなりに楽しい時間をすごしてる様子も見受けられる。
そんな中、あるちんちんを押したところ、出口が現れた。喜んで出て行こうとするけど出口まではちょっと距離があって、出ようとすると時間切れで押したちんちんが戻って閉まってしまう。
ここからが試行錯誤、重い壷をちんちんの上に乗せて戻らないようにしても跳ねられる。水を入れて重くしようと思っても、水が降ってくるのは松本の頭の上なので、上手く壷に入らない。
あきらめるたびにヒントが現れて、脱出できる、と思ったら出口の奥にドアがあったりして、そんな感じで新たな問題が現れて、試行錯誤して痛い目にあって、あきらめて、ヒントが現れて解決して、また難題が現れて・・・。
最後にはやっと出口から出て鍵のかかったドアも開いて・・・と思ったら思い込みで気が付かなかった理由でドアを開けられず、閉じられた出口とドアの間の狭い空間に閉じ込められてしまう。
このステージには「修行」と名前が付いている。描かれているのは人間の子ども時代。だから最初に松本は「ここどこですかねー?」といって泣き喚くのだ。赤ちゃんが生まれながら泣くように。


「修行」の次のステージは「実践」
さらに広くて天井の高い白い空間に浮き上がる無数のちんちんを押すたびに、思いもよらない現象が起きる。
ここに描かれているのは「情けは人のためならず」、あるいは風が吹けば桶屋が儲かるという、バタフライ効果のような絡み合いで世界が成り立っているということ。
そしてその現象の一つ一つには人間の地に足付いた生活があるということ。だからちんちん1個分のネタであるルチャ・ドールを延々と描いてきたわけだ。


見上げるとはるか高いところに天使がぐるぐる旋回してる。俺も一瞬エヴァンゲリオンの映画「シト新生」のラストをイメージしたんだけど、これをテレビ版の最終回と勘違いしてネットに書いた人がいて、それを読んだ馬鹿がわけの分からん批判をしてたのが滑稽だった。
それはともかく、松本人志は上を目指してクライミングウォールのようにちんちんを手がかり足がかりに登っていく。
だんだんちんちん抜きで、飛ぶようにもかいてもがいて上に行くようになってくる。その間に顔は麻原彰晃のようにヒゲもじゃ髪もじゃに。
ヒーリング音楽が響くこのあたりまで来ると、新興宗教の教祖賞賛のビデオを見ているようですらある。


そしてたどり着いたのは世界地図の前、そして大きなちんちん。
このステージには「未来」と名づけられている。
エンドロール。


結局、この映画のテーマは日本人の仏教的な死生観なんだろう。人が仏になるまでの過程が描かれている。
ラストは神になったと思われそうな場面だけど、仏になったんだよ。あるいは仏教を前提にした多神教の神というべきか。


ただ映画表現としては「雑」の一言に尽きる。
たとえば「実践」での上昇中、バックには世の中の出来事が映し出されるが、オバマとかアクシデントとか、陳腐の一言。
メキシコパートは本物のルチャの魅力に助けられてるものの、それ以外に見るべき絵がどこにもない。
それが狙いで、あくまで平凡な日常を描く意図だったら救われるけど、いい絵を撮ろうって頑張ってるのが見えちゃうだけに痛い。

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とはいえ、「大日本人」とは全然違うぞ、これ。