南極料理人〜おにぎり食べたい

静岡シネギャラリーで17:10の回。客入りは8人。


ところで今の俺は恥ずかしながら風邪っぴきである。
風邪を引くことは恥ずかしくないんだろうけど、風邪を引いた理由が「野毛大道芸ではしゃぎ過ぎ」っつーんだから、はしゃいで熱出すってどこの子供だよ!って話なんだが。体温は測ってないけど、多分37度ぐらいはあったんじゃないかなー?
一昨日、昨日とのどが痛くて鼻水が出て大変だったんだけど、今日は鼻が詰まってタンがとめどなく出てくる、という状態。
つらい。普段からダリイダリイ言ってる衆にとっては日常なのかもしれないけど、俺にとっては地獄だ。なにがつらい、って、メシの味がしない、ってこと。今朝淹れたコーヒー、初めて買った品種の豆だったんだけど濃いのか薄いのかすら分からなかった。
文字通り味気ない日々を過ごしているのである。

風邪で味覚や嗅覚が麻痺してるなら、視覚と感性で味を楽しもう、と、この映画を見に行ったわけだ。
つーか、もともとこの「南極料理人」シリーズは俺の愛読書のひとつ。普通に読んでも楽しいエッセイだけど、自炊を志す男なら必読の書とも言える。

面白南極料理人 (新潮文庫)
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starしらせは砕氷艦です。
star一話、一話がちょうどいい長さのエッセイで、楽しい読書ができる。
star呑んだ、食った、料理したの日々?!

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特にレシピ的なものが書かれてるわけじゃないけど、あちこちに自炊のヒントが散りばめられている。


時代的な背景が今とは違って、湯水のようにゼニを使って、といってはなんだけど高級食材を大量に持ち込んだことによる悲喜劇が、あちこちに配慮したんだろうけど薄れてしまって、なんであそこまでラーメンにこだわるのとかがイマイチぼやけてたりしてたけど、でも原作のファンからしても十分満足出来る。


隊員8人全員が男という、まさにいい年こいて男子高校生ノリのざっくばらんさつーか、気の使わなさつーか、バカバカしさつーか、そういうのが実に心地いい。原作だと兄やんが彼女に振られるクダリは壁新聞でからかわれるような形になってて、男的にはそれでも全然いいんだけど、映画のようなまとめ方が女の子的にはいいんだろうね。
それでいて一方で、家族とは何かを問うような形になっていて、終盤は堺雅人が割烹着のお母さんになって大家族の朝のようになっていたり、本当に良く出来てるよ。
つーか、ぶっちゃけ食べ方も汚い理系エリートで、なにより水が限られていて風呂も洗濯も不自由な世界、リアルに描いたらどんなに汚いことになるやら。といっても、予告編で見る限り、全員きれいでうそっぱち臭いし、この辺をどうするんだろうと思ってた。ところがいい感じにきれいに汚くて、本当に感心した。


最初は理系バカが食べ物に興味がないとか、食い方も流し込むように食ってて汚いとか思ったけど、だんだん見てるうちに一生懸命に食べてくれる姿がどれだけ美しいことかということに気付かされるんだ。
最後にジャンクフードに美味い、という場面もそうだけど、食べるつーことがどういう行為なのか、極地に舞台を置くことでその原点を考えさせることに注力した映画だ。


風邪っぴきで食欲がなかったけど、見終わって無性に「ラーメン食いてえ!」と思って伊駄天に行った。
とはいえやっぱり鼻が詰まってて香りが分からないと、このラーメンはコクがあるものの脂っぽさが先にたって、初めて不味い、と思った。
今となってはニチャッという音で握られるおにぎりを食いたくて仕方がない。コンビニにしろテンジンヤ(静岡ローカル)にしろ、売ってるおにぎりは保存性を考慮してか、全部パサパサしてるんだよなー。