いんび変態若妻の悶え

静岡小劇場で18:00の回。客入りは30人ほど。

つーか静岡ピカデリーの屋上にあるドーム、ずっと気になる存在だった。プラネタリウムだったという話は知ってる。
もうひとつ、静岡小劇場。ピンク映画専門館。劇場に興味はあっても、正直なところ作品に興味がない。つーか、ああいう無駄なストーリーうぜえ早くヤれ的な早送りの必要なエロは、80年代に見たビデオテープでうんざりしてる。
なんかの機会があったら静岡小劇場に行ってみたいとは思ってたんだけどね。
前の会社の某システムのAさんが静岡小劇場でアニメを見た事があるって言ってた。夏休みにスクリーンが足りなかったらしい。
そんな機会を待ってたんだけど、ついぞ訪れなかった。


行商美術2009の告知を静活のホームページで見たのはそんな時だった。
http://www.shizukatsu.co.jp/gyosyo09.htm
プラネタリウムのドームでの美術展、静岡の美濃瓢吾という画家のアトリエで撮影された成人映画が小劇場で上映されるという。その作品の原作が太宰治の「きりぎりす」。
「きりぎりす」ってエロだったか?という疑問もあったものの、これはいい機会だと行ってみることにした。

小劇場の入口。ここを出入りする人を見た事がない。俺が最初だよ。
数段の階段を上がると狭いエレベーターホールが現れる。右手にポスター、左手に古いエレベーター。



成人館お約束の落書きもあるんだけど、やっぱり静活は古くても管理がしっかりしてるからきっちり消してあるんだろう。彫ってあるのがやむをえず残ってる程度。



屋上に到着。
ドームの中は売り物の作品が展示してあるので写真撮影は遠慮したけど、中はがらんどうでプラネタリウムとしては狭い。大道芸をやるにはぴったりの大きさなんじゃないかな。つーか、小劇団なんかで使ってみたら面白いんじゃないの?




作品は・・・よく分からん。ただ、ぺったんこになった空き缶に描かれたニャンコが5000円とか、ちょっと心動くものがあった。野良猫みたいな魅力的な野性味があったんだ。




さて小劇場は屋上の奥にペントハウスのように存在していた。
4時過ぎに中に入ると、既に3本立てで上映中。客は5人。うち1人は立ち見。なぜ?
この立ち見のじいさん、立ったり座ったりして見てる。スクリーンの場面と行動とを照らし合わせて考えると、立ったら立つのだろうか?立たなくなったら座る、と。で、そのうちどっか行っちゃったんだけど、イっちゃったのか?まぁいいや。




3本立ての1本が「夫婦夜話 さかり妻たちの欲求」(夏川亜咲 山口真里 藍山みなみ
エリートサラリーマン役で大川隆法が出てたような?途中から見て、劇場内の様子を観察してるうちに終わってしまった。少なくとも怪しげな動きをするゲイはここにはいないようだ。



もう1本が「不倫ファミリー 昼から生飲み」(真咲南朋 浅井舞香 山口真里)
単身赴任の夫には現地妻と息子がいて、妻は夫が帰ってくる前の日に美容師と定期的に浮気。娘は大学院生で教授と出来てて、夫の現地妻が事故死、息子を連れ帰って奥さん卒倒。娘は中出しされて生理が遅れて、実は教授は種無し。ケンカして娘が投げた納豆巻が大学出入りの植木職人の口に飛び込んで、二人は出来てしまう。夫は現地妻の愛に気付いて自己嫌悪、猛烈な勢いでこいだブランコから飛び降りて滑り台に走っていって突っ込んで大ケガ。
最後は夫婦が仲直りエッチ、娘と植木職人もエッチ、隠し子は台所で洗い物をしながら第9を歌って、初音ミクのようなボーカロイドの第9に変わって、2組ともエッチが最後まで行かないのに第9のままエンド、というなんだかよく分からないけど、妙な説得力のある終わり方。
イかないままエンドって、エロDVDだったら絶対にありえないと思うんだけど、俺の知らない世界がここにあった。



上映中に3人いなくなって場内は2人で18:00、行商美術2009の関係者が30人ほど入ってくる。居残りのもう一人も行商美術2009の関係者のようで、結局部外者は俺だけらしい。まあ、いいや、この手のイベントではこういうことはよくある。


「いんび変態若妻の悶え」(淡島小鞠 あすか伊央)
原作の太宰治の「きりぎりす」って、要は典型的なオタク女なんだよな。自分だけが価値が分かるのがうれしい。だから人気が出ると穢れたように感じて貶めたくなる。メジャーになったら「質が落ちた」とか「大衆に迎合するようになった」とか、ネットで誹謗中傷するタイプ。



ちょっと緒川たまきに似た感じの主演の淡島小鞠が、そんなサブカル女オタクの雰囲気を漂わせていて、作風に見事にハマってた。
美濃瓢吾のアトリエを貧乏屋敷のように描いていたり、近代的なピカデリーzeroの映写室でエッチしてたり、古い貞操観念を前提としてたり、時代がガッチャガッチャになってるんだけど、作品の雰囲気としてまとまってたのは昔も今も変わらない痛いオタク女を演じきった淡島小鞠の功績だと思う。

上映後、音楽を担当した宮川透のMONTAGE FACTORYのライブ。
http://www.myspace.com/miyamaix
こういうブルースっぽいの、好きだなー。