「チェ 39歳別れの手紙」〜伝説を否定するリアル

静岡ミラノ1で19:00からの試写会。本編終わったらすげーことになった。
240席ほぼ満席の客の8割が一斉に席を立ったもんね。
試写会でタダだからって気軽に応募しやがって、タダタダって喜んで見に来たら、小汚いおっさんが、なんだか分からない戦いに連戦連敗してグダグダになっていく、それを2時間20分見せつけられるんだから。さぞかし苦痛だっただろう。


「28歳の革命」に引き続いて、なんの説明もないからね。
ゲバラボリビア共産党が決裂するまであっという間。ゲバラがなにを目指して戦ってるのか分からない、って公開後にまた非難ごうごうなんだろうな・・・。下手すりゃ、ゲバラってどこに出てきたの?とか言われかねない。
http://ru.youtube.com/watch?v=NBBW2WPoZAo
延々と描かれているのは、グダグダのゲバラ
「28歳の革命」のことを書いたときに、

丹羽 恒夫さん
存在を賭けた 愛 = 革命 と表現されている
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090110/p2#c

という指摘を受けた。その愛がボリビアではまったく伝わらなかった。キューバ革命の時だって上陸した直後にボロ負けしてたけど、根本的な違いがそこ。民衆に求められていないゲリラは無力。
ゲバラには信念があったけど、ゲバラ以外は無目的集団と化してたんじゃないかという雰囲気丸出し。

このグダグダっぷりは、ユダに売られた後のイエスのグダグダぶりに似てるんじゃないかな。
ゲバラー、後ろ後ろ」って突っ込みたくなるような場面があったりして、最後は処刑されちゃう。
その姿は、グダグダでゴルゴダに磔になったイエスの姿を彷彿とするものがあった。


とはいえ、聖書のような演出があるわけでもなく、ゲバラ最期の言葉として知られる
「お前の目の前にいるのは英雄でもなんでもない、ただの男だ、撃て!!」
という芝居ががった演出もなく、淡々とリアルに徹しきる。実に素晴らしい。


あげく、エンドロール無音だからね。
残った客は無音のエンドロールをまんじりともせずに見てた。
50-60人残った客も、多くは「エンドロール終わるまで席を立っちゃいけません」とシネギャラリーにしつけられた客か、暗くて危ないから明るくなるまで待ってた客なんだろうけど、俺は無音のエンドロールをにらみながら、輝けるゲバラと、グダグダのゲバラを対比させていたんだ。
輝いている人なんてのは実はいなくて、その人を求めてくれる周りの人たちが輝かせているのかな、とか思いながら。


リアルに徹した中で、唯一意図的に匂わせていたのは「旅の終り」という雰囲気。
旅の始まりでもある「モーターサイクル・ダイアリーズ」から3本通しで(出来ればオールナイトで)上映してくれる劇場、どっかでてこないかな?