TSUNAMI

静岡ピカデリー1で17:10の回と19:40の回。

ともに客入りは10人ほどと大コケ状態。

しかしなー、この映画は映画が好きだったら絶対に見ておくべきだと思うよ。いやはや、すげー、ある意味。韓国映画ってのは一種独特の世界観を持ってるから好き嫌いが激しいジャンル。その中でもこれは極端だね。


静活では日本語吹き替え版のみの上映つーことで、一見すると邦画のように見えなくもないんだけど、やっぱりぜんぜん違う。ここまでの邦画はないわ。

つーか、吹き替えで魅力が半減してる。
やっぱり慟哭とかヒステリーとか、ああいうイッちゃった具合は日本人声優には真似ができない。


俺は三陸で物心がついて、津波教育というものを洗脳のように受けたこともあって、この映画に描かれている津波というものがいかにインチキであるかはよく分かったつもりでいる。

つーか、それ以前の問題だけどな。高層ビルの半分が水没してるのになんで電柱に登った衆が助かってるんだ?とか、高層ビルがドミノ倒しになってるのになんで海辺の屋台がその場に残ってるんだ?、とか、そのレベルで突っ込みたいことは山ほどあるけどさ、ぶっちゃけ、細けえこたぁいいんだよ!、バンバン!


この映画のすごいのは、伏線引きまくりで、その伏線を意外な形で全回収するシナリオなんだ。一見ただの脇役に見えたトイレの修理人とか行商のババアとかが思わぬ形でもどって来たりして。

もちろん、そこにリアリティなんかありゃしない。ご都合主義という一言で切って捨てられるレベルの話。それでもここまで上手く収束すれば、それは芸術と言っていいほどの美しさを感じる。
とはいえ、それすらなぎ倒す設定のデタラメさの前には無力だけど。


要はその設定のデタラメさを認められるか、認められないかなんだ。
ある一定の世界を仮定して、その舞台上での芝居とそこで描かれる人間を面白いと思えるか、仮定の話すら受けつけずに現実じゃないとゴネるか。スクリーンの前で観客の人間としての引き出しを問われている。