センサーライトの危険性

上小阿仁村という小さな村があって、村民のクレームで医者が立ち去ってしまった、という一件、例によって医者とその取り巻きが好き放題なことを言ったり書いたりしてるけどさ。
それに対しても思うことは多いけど、この一件で防犯設備士試験の合格通知が先日来た俺の目を引いたのはこの部分。

医師住宅に最近屋外のセンサー照明装置がつけられましたが、ある住民から村の税金を無駄に使っていると話されたそうです。

http://www.vill.kamikoani.akita.jp/div/kikaku/pdf/kouhou/1003kouhou11-20.pdf

センサーライトの設置理由はよく分からない。夜間の搬送時の便宜を考えてのことかもしれないけど、それなら普通のスイッチ式の照明で済む話であって、センサーライトでなければならない理由はない。
多分に防犯の目的が含まれてたんだろうけど、簡単に設置できるからって、みんな後先考えずに気軽にセンサーライトを取り付けすぎなんだよ。その結果、この手のご近所トラブルの一因になってるケースが結構あるという話だ。


まずそもそもセンサーライトが防犯の役に立ってるか、というと、実はそうでもないと思う。適切に設置されたセンサーライトは別にして、大方の場合は安いセンサーライトを適当に設置してる。その結果、どういうことになるか。普通に夜道を歩いてたら近所の家からピカーッって照らされた経験を持つ人は多いと思う。ああなる。ああなっちゃうともうダメだよね。
のべつまくなしにピカピカやってるんだから、光っても誰も気にしない。つーことは光っても忍び込み放題ってことだ。


パトカーがパトロール中に、たまたまセンサーライトが光って侵入犯が写し出されて、それがキッカケで逮捕、って事例が少なからずある。でもそれはセンサーライトの効果があるというより、たまたまパトカーが通りかかったから捕まったようなものの、普通は誰も見てないわけで、逆に言えば侵入犯はセンサーライトが光っても気にせず侵入してる、ってことの裏付けでもある。


そんな防犯効果に疑問がある一方で、弊害は大きい。これは適正に設置されてないことから生じる問題なんだけど、主にセンサーの感知範囲と照明の照射範囲の問題。
照明の照射範囲の点では、隣の家の寝室に光が差し込むように設置されていてクレームになった、という話も聞いたことがある。


でも一番の問題は、やたらピカピカ光るということにある。さっき例に上げた「普通に夜道を歩いてたらピカーっと照らされた」てのも、たまたまの通りすがりならいいよ。近所の人だったらどう?
なにせセンサーライトの防犯効果の根拠は「光による威嚇」であり、威嚇とは攻撃同様の姿勢で脅すこと。だから無用に威嚇されると
「やいやい、なんだね、あのウチゃー。オラぁ通るたびにピーカピカ光りやがってホォ、ハァ、やっきりしちゃうやー」
ってなことが積もり積もるわけ。
先の例の上小阿仁村の医者の家みたいに、外に閉鎖的で内に開放的な田舎社会だったら、内にも威嚇をする家はどういう扱いになるだろうね?


でも光を浴びたってドラキュラじゃあるまいし、溶けたりはしない。だから表立ってクレームをつけられない。
そして積もり積もったものが、なにかのキッカケでご近所トラブルとして爆発する仕組み。
でも、爆発したときにはそのキッカケだけが問題になって、「おーいー、あのヒトぁ、これっぱかの話で、なんでああがなるだかねぇ?」みたいなことになるわけ。


その全ての原因はホームセンターで売られてるセンサーライトの仕様にあるのよ。ま、こういうのね。

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さっき八幡のジャンボエンチョーで確かめてきたけど、5000円以下で売られてるセンサーライトのセンサーの感知範囲はいずれも固定されたもの。
たとえば感知範囲が角度130度、距離は5メートルのセンサーライトを購入して設置するとする。これを塀から2メートルの離れた玄関脇の高さ2メートルの場所に設置すると、三平方の定理より、塀から√21メートル−2メートル(=約2.58メートル)離れた道路を地面すれすれに這っていても感知してしまうわけ。実際は表記されているより感知範囲は余裕があるから4−5メートル離れてもピーカピカする。
もちろんライトの照射角度や範囲は変えられない。
このまま使ったらトラブルになるよ、っての。


じゃあどうすればいいか、っつーと、センサーも照明も調整出来る高いセンサーライトを使うか、もしくは一工夫することが必要。
センサーの感知範囲で言えば、設置する高さを変えれば感知面積は調整できるし、ライトはペットボトルを黒く塗ったような笠をつければ、なんとかなる。


防犯ってのは疑うところから始まるわけで、その行動は本人たちは自衛のつもりなんだろうけど、近隣から見ると一種の攻撃に近いものとも言えることをお忘れなく。