テッパクで見つけた俺が生きてた証のひとつ

大宮に着いたのが10時ちょい過ぎ。
テッパクのホームページを見るとさいたま新都市交通の鉄道博物館駅が最寄り駅なんだけど、大宮駅から歩いても2キロないみたいだから歩いてみる。

道すがらにも首チョンパされてさらし首になってる機関車が展示されてたり、飽きないようになってる。


博物館前にはいつでも筋トレ出来るようにウェイトが並んでる。わけじゃない。
入場料は1000円で、セキュリティカードみたいのをくれる。これで乗り物の予約が出来たりするようだ。建物の中はターンテーブルにC57が載ってて、これを囲むように各種車両が展示されている。

教科書に載るような歴史上の車両から、よく乗ってた生活上の車両まで、まずどれから見ようか迷う。
つーか、この時点で正直なところ、館内をスキップして歩きたかったくらい。

よく新幹線に飛び込む衆がいるけど、最後に見えるのはこんな光景なんだろうな。

昔の上野駅16番線を再現しました、つーけど、16番線に中間改札が出来たのは東北新幹線以降でしょ。札がぶら下がってたのは中央改札だし。

ついでに帰りがけに今の上野駅16番線を撮ってみた。実はあんまり変わってないような気がする。

この手の再現もので人間をどう再現するかは考えもので、やりすぎちゃうと羊蹄丸みたいな、どうみてもリアルお化け屋敷にしか見えない状態になっちゃうけど。

羊蹄丸
http://d.hatena.ne.jp/RRD/20080731/1217510601
東京・お台場で、気持悪いほどリアルな昭和を体現した青函連絡船に乗ってマジ泣きする!
http://d.hatena.ne.jp/kokorosha/20090120/p1

鉄道博物館ではこう。

これは噂に聞く、ちょうど今の季節、お盆時の終電が終わったあとに、悲しみの顔を影に隠した死者を乗せて走ると言われている幽霊列車ではなかろうか?
そうかと思うと銀河鉄道999の「予約カタログ」で鉄郎に機会の体を選ばせるメノウがクレアの意思を継いでか、食堂車でウェイトレスをやってたりするし。



時間が経つにつれ、舞い上がっていたのが落ち着いてきたというよりも、どこか心の中に覚める気持ちが起きてきた。
やっぱさ、博物館の展示なんだな、これ。標本なのよ。

窓を開ける取っ手。油がさしてあってカチャカチャとスムーズに動く。でも同時に窓は絶対に開かないようになってる。
これはすばらしいことなんだけど、展示にあたってきれいに塗装して、木組みのところはニスなんか塗ったりしてピカピカ。そして閉じ込められてしまったものがある。

におい。
シートのモケットに染み付いた生活臭と湿気とタバコと、そしてなにより木の床に浮いた油の、デッキのドアを開けた瞬間にもわっと襲ってきた、あの汽車のにおい。
窓のさんの、ニスを塗った刷毛が届かなかったところに鼻をつけてみる。かすかに感じる。そして見える、この車両が生きていたころの景色が。
木の床にはいつくばって、においをかぎまわる。そこにもここにも、多くの人が生きていた証が。

そしてこれが鉄道博物館に残る、俺が生きていた証。
津軽丸の案内板。津軽丸に乗って、これに触ったことがあるんだ。うすぼけているのは俺をはじめ多くの人が触ったり見たりしたから。