告白〜まさに極限のエンターテイメント

静岡東宝1階で17:15の回と19:30の回。入れ替えがないので2回見た。客入りは50人ほどと70人ほど、それなりの入り。
いやー、しかしすごい映画を見たね。

テレビでもCMになってる予告編を見てると犯人探しのミステリーのような印象だけど、実際のところはこの犯人AとかBとか呼ばれてるのは誰かも、なぜこのような殺人を犯したのかも、まず最初に松たか子によって語られる。
問題はその後だ。

事実なんてのは立場や見方によっていくつもある。
この物語は告白というモノローグの形式を取っていて、語られる事実とは語り手にとっての事実であり、その行間にはそれ以外の事実がある。
「それ以外の事実」は、別の語り手により何度も遡って告白され、行間は見事に埋められて行く。その構成は実にうまい。
そしてそこまでが作者にとっての告白であり、この物語にはその行間がある。
その行間とは、「私にはあなたのことがわかります」という思い上がりに対する嘲笑である。これは赤子の手をひねるように復讐を成し遂げた主人公についても言えることだ。

無機質な教室を寒色の色合いを濃くした描写で映し出し、何十人といる生徒の一人一人に小さな狂気を抱かせ、選曲といい、細かな効果音のひとつひとつといい、CGやスーパースローも丁寧に作り上げられ、無理な設定に起因する一部のややご都合っぽい展開を除けばほぼパーフェクトといっていい作品。

また少年A・Bと委員長の女の子の3人がいいんだ。この年でこれだけ壊れた人間を演じられるのが恐ろしいと言うべきか、この年だから演じられるというべきか。
舞台は現代で、現代っぽさを象徴するアイコンが散りばめられてるけど、誰もが通ってきた、リアルと作り事の境目が曖昧になりかける13歳という時間に通じる世界の出来事だ。だから13歳なら誰でも出来る演技なのかもしれないけど。

いすれにせよ「告白」に出てた中学生、という肩書きの役者が出てきたら注目して見ちゃいそうだ。