仕方がないからボランティアを受け入れている

災害ボランティアはどういう事になっているか - NOW HERE

の続きの話。


もう物資も人手も余っていて、ボランティアは来ちゃうから仕方なく受け入れている。
そう言ったのは宮城県亘理町で俺に職務質問をした愛知県警の警察官だった。
いかにも頭の悪そうな調子に乗った、いわゆるオイコラ警官だったんだけど、だからこそ普通の神経なら言えないような本音を言っちゃったんだろう。


俺が行った前後、宮城県亘理町のボランティアセンターには毎日200人前後のボランティアが駆けつけていた。一方でボランティアの派遣依頼は少ない日で1ケタ。そりゃ人は余るわ。
ただ、じゃあボランティアは意味ないのか、つーと、決してそうじゃない。



このあたりの話をまとめようと思ってるうちに、書きたいことが多すぎてまとめられず、ゴールデンウィークでボランティア余りなんて記事がマスコミに出て来ちゃった。
マスコミの報道にはそれぞれテーマがあって、それにそって記事を作ってるからそのテーマ以外のところがテーマに沿うように歪められちゃってるように見える。俺がブログで書く時も似たようなことが起きるし、それを避けようとまとめ方に迷ってたから、もうまとめずに書いちゃうよ。
一部矛盾する部分もあるだろうけど、そういう事情なのでご容赦を。

まず、来るボランティアの数が自治体によって全く違うということを挙げておきたい。
俺が亘理町に行ったのも最終的な決め手は、亘理町ボランティアセンターがネットで積極的に情報発信を行っていたことだった。亘理の場合は仙台から電車で行ける、ということもあった。
一方で亘理町の隣の山元町なんかは全然人手がなくて、手のつけようがない状態らしい、というのを噂レベルでは聞いたけど、実際のところどうなのか、情報発信力がほぼゼロだからよく分からない。
横の連携はほとんどない。


次に、半官半民でやってる組織だから、ちゃんとボランティア派遣のニーズをつかんでいないという可能性は残る。



とはいえ亘理町だって常磐高速から海側はほぼ壊滅状態。
ただボランティアったって徒手空拳の素人集団だからね。瓦礫の撤去とかいったところで全壊家屋の撤去をボランティアの人力で、ってわけにもいかない。そもそも車両が絶望的に足りないから大量に出る瓦礫の運びようもない。
従って現状では素人のボランティアの出来ることつーのは極めて限定的なんだわ。


本当に必要なのは職能ボランティア。
ところがこの職能ボランティア集団は自力で活動をしていることが多くて、ボランティアセンターのようなところが仕切ってるわけじゃないようだ。ただし情報の出所はボランティアセンターや災害対策本部であることが多い。
そのために職能ボランティア集団の活動が重複することが多いとの。一方で役所が把握してない避難所なんかは完璧無視されたりとか。


避難所といえば、ボランティアセンターから物資を届けるのに亘理町の避難所を全て訪ねたんだけど、さまざまだね。
大規模の避難所は東京から派遣されて来た公務員が仕切っていて、物資を持って行ってもお役所仕事。どこに置けばいいか、担当の者に聞いてきます、と言ったまま帰って来なかったりとか。どこに置くかなんて隣り合ったプレハブのどっちかに決まってるのに。
ドライバーさんいわく、ここはいっつもこうだ、って。
一方で小さい避難所には誰もいなかったりとか。でも配達物資を置く場所は決まってる。



物資といえば、ハッキリ言って個人が送る物資は被災者にはほとんど届いてないと思う。
亘理の場合は同じものが大量に来る企業や各種組合の物資でしばらく大丈夫な感じだった。つーか個人のいろんな思いのこもったいろんなものが詰め合わせになった段ボール箱、どれだけ仕分けるのと管理に人力が必要なことか。


賞味期限が震災前の食糧も多かったなー。
手作りのケーキなんてのもあった。これ、避難所に配ったら問題になるよ。かといって捨てるわけにもいかないし。
支援物資の手作りのケーキを見た翌日、似たようなケーキがボランティア受付に「ご自由にお召し上がりください」って書いて置いてあったけど、同じケーキかどうかは知らん。
酒類も送られてきてたけど、どうするんだろうね。


支援物資ではお菓子類が本当に余ってた。調理することなく、カロリーを摂れる、という考えなんだろうけど、もう調理も出来るし、カロリーの必要な時期じゃなかった。
むしろ足りないのはビタミン。野菜。
他の日持ちがする物資はアリさんのように武道館の奥にしまいこみ、野菜類は屋外のテントにおいてすぐに避難所に配れるようになってた。
野菜は個人から送られて来ることはなく、来る時はトラック山積み、来ない時はなにもない、という感じ。俺がいた時は野菜が来なかった時期で、ためてあった野菜を放出してた。
シナシナのネギとか、萎れて外側半分剥かなきゃな白菜とか、芽がボウボウに生えたジャガイモとか。



避難所に分配する野菜は、栄養士さんだかが物資のストックと栄養のバランスを考えて作った献立に基づいて決められてるそうだ。
でもネギだからって白ネギと青ネギをごっちゃにして分配してるんだから、ちゃんと献立どおり出来てるんだろうか?と思ってたら、避難所ではおばちゃんたちが現場に合わせて勝手に作ってるとの。
まあ、東京の公務員仕切りの大規模避難所では指示どおり作ってるんだろうが。


ビタミンといえば、ビタミン剤が大量に倉庫に置いてあって、何日もそのままだそうだけど、あれは陽の目を見ないかもね。献立に載りそうもないし。